「そろそろパソコンを買い替えようと思ったら、去年より4万円も高くなっていた」——最近、こんな声をよく聞きます。
気のせいではありません。2026年に入ってから、メモリ(DRAM・SSD)とGPUの価格が続けて跳ね上がり、パソコン本体の値段を押し上げています。今回は、何が起きているのかと、中小企業として買い替えをどう考えればいいかを整理します。
いま起きていること
数字で見ると、値上がりの規模がよく分かります。
- メモリ(DRAM): 2026年4〜6月期の契約価格が前期比58〜63%上昇。7〜9月期もさらに13〜18%の上昇見込み
- SSD(NAND): 同じく4〜6月期に70〜75%上昇。7〜9月期も10〜15%上昇見込み
- GPU(グラフィックボード): AMDが1月、NVIDIAが2月に値上げ。さらに7〜8月にも再値上げされ、一部製品は7月初めの約1.5倍に
- ノートパソコン: かつて15万円前後だった新品の平均価格が、18〜19万円台に届くケースも
しかも10〜12月には、製造を担う台湾のTSMCが約10%の値上げを予定しており、年内にもう一段の上昇が見込まれています。
なぜ、こんなに上がっているのか
理由はいくつか重なっていますが、最大の原因はAIです。
生成AIを動かすデータセンターでは、大量の高性能メモリが必要になります。メーカー各社はより高く売れるAIサーバー向けに生産ラインを振り向けており、パソコンやスマートフォン向けの供給が細っているのです。韓国のSKハイニックスは「2026年分の生産能力は事実上完売」と表明し、サムスンとともにOpenAIの大型プロジェクトへ月90万枚規模のウェハを供給する覚書も結んでいます。
加えて、旧世代のDDR4メモリが製造終了で品薄になっていること、円安が輸入価格を押し上げていることも重なりました。GPUに関しては、業界関係者が「製造コストに占めるメモリの割合が8割を超えた」と語るほどで、本体よりメモリが値段を決めている状態です。
いつまで続くのか
残念ながら、すぐには戻りません。SSDの本格的な増産は2027年後半以降とされており、それまでは供給が追いつかない見通しです。
ただし局面は変わりつつあります。前半のような「急騰」から、後半は「高値のまま横ばい」へ。大きく下がるのを待つより、必要な時期に計画的に買うほうが現実的な相場つきです。
中小企業がとるべき現実的な対策
- 壊れてから買わない。価格だけでなく納期も読みにくくなっています。業務が止まってから慌てて調達すると、選択肢がないまま高値で買うことになります
- 延命できるものは延命する。動作が重いだけならメモリ増設やSSD交換で数年使えることも多く、買い替えより費用を抑えられます(ただし部品自体も値上がり中なので早めに)
- 「AI=高性能PCが必要」ではない。ChatGPTやClaudeなどのクラウド型AIは、ブラウザが動けば十分。AI活用のために高いパソコンを買う必要はありません。むしろチャットボットや事務作業の自動化はサーバー側で動くので、手元の機材投資はほぼ不要です
- 本当にAI PCが要る人を見極める。画像・動画の生成や機密データを社内だけで処理したい場合は高性能機が必要ですが、多くの会社では該当しません
まとめ:値上げに振り回されず、優先順位を決める
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